テーバイの町は凶作と疫病に襲われていた。人々は王オイディプスに救いを求める。オイディプスはかつてこの町が怪獣スフィンクスによって苦しめられていた時に、その謎をといて町を救い王となったので、今回も彼に解決を求めにやって来た。
スフィンクスの謎とは、「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足の生き物は何か」というもので、その謎が解けなかった人を食べてしまっていたのです。もちろん答えは「人間」です。人間についての謎を解いたオイディプスは、後に自分がどんな人間かという問いに答えを出す事になります。
彼は予言の神アポローンの社(やしろ)デルフォイに使者を送り神に解決のためのお告げを求めます。するとアポローンはこの地を穢している汚れを追い払えと命じます。先の王ライオスが旅先で賊に襲われ殺害された事件の犯人が見つかっていなかったのです。
犯人を探すためオイディプス王は盲目の預言者テイレシアスに尋ねます。テイレシアスは躊躇しながらも重い口を開きます。真犯人はオイディプスであると。更に預言者は王が身内の者とも交わりを結んでいると指摘しますが、彼は信じません。
オイディプスはこれを義弟クレオンの陰謀であると決め付けます。そんな時、后のイオカステが神託があてにならないものだとして昔の話を王に聞かせます。イオカステは先王ライオスの妻で、王が亡くなった後に新王オイディプスの后になっていたのです。
かつてライオスに神託が下った。彼は自分の息子の手にかかって殺されるであろうと。そこで王は自分に息子が生まれるとくるぶしに金具を刺して山に捨てさせたのであった。王は三叉路で賊に襲われ亡くなったのであると。
それを聞いたオイディプスは愕然とします。彼はコリントスの王を父として育ったのですが、ふとした時に王は本当の父ではないと耳にします。悩んだオイディプスアポローン神にお伺いを立てます。すると神はこう言います。
おまえは自分の母と交わり子をもうけ、自分の父を殺すであろう。
この運命を避けるため彼は国を出ます。旅の途中、三叉路で向かって来た人々と言い争いになり相手の主人を殺した事があったのです。オイディプスの心に疑惑が湧いてきます。
そんな時、実の父と彼が信じるコリントスの王が亡くなったという知らせが届きます。彼が殺したのではないのですから、予言は成就しなかった事になります。しかし母と交わるという方については不安が残ります。ここでコリントスからの使者はとんでもない事を告げます。コリントス王ポリュボスはオイディプスとは血の繋がりがないと。
更にその使者はかつてライオス王の羊飼いから幼子を預かった事、その子は王の息子でくるぶしに金具が刺さっていた事を王に話します。
今や全てを知った后は自害し、王は自らの不明を恥じ自ら両の目を刺し盲目となり町を出てゆきます。