歴史と文学

見ている人が多いだろうから、こっちに書いておく。
アリストテレス詩学』第9章。「歴史に較べると詩の方が、より哲学的つまり学問的でもあるし、また、品格もより一層高い次第である。その理由を更に換言してみれば、詩が語るのは寧ろ普遍的な事柄であるのに対し、歴史が語るのは個別的な事件だからである」(岩波版全集から引用)
実際に生じた事柄に、生じ得る可能性があったのは当然である。それが生じたのだから。しかしそれは個別的なという意味で現実的であるに過ぎない。普遍的な事柄は個別の場面において実際に生じたかという意味においては、現実的ではない。だからといって、普遍的な事柄を描く文学・創作を個別的現実的事実に比して悪であると言うのは、創作の何であるかを知らぬ愚かな発言である。