Acid2 に Opera は通っていないのか

いろいろな見解があるので、モリーAcid2 test の作成に関わった*1とされている Ian Hixie から得た手紙を紹介している。
Acid2 and Opera 9 Clarifications
通常、このように部分的とはいえ全訳はしないのだが、変に曲げられて訳され伝播するのが嫌なので、日本語にして紹介してみる。カッコ内は訳注。

  1. スクロールさせると画像が変化する。これは fixed positioning をチェックするテストの一部であってバグではない。(テストの解説にも書いてある。ここがおかしいと言う人は、ドキュメントに目を通していない証拠だ)
  2. ウィンドーのサイズを変化させると、画像が変化する。すなわち、ズーム・インさせるとテキストがギザギザになる。こうなるべきではない。テキストと同様に画像もスムーズでなければならない。
  3. Fit to Width(ウィンドーに合わせる)モードにすると、画像が大きく崩れる。これは規格に沿わないバグであるが、意図されたものである。Fit to Width は規格を無視するよう動作するのだ。しかしながらこの場合、何ものも変化させるような事があってはならない。よって、私の考えではバグである。しかしこの件は、ブラウザがテストに合格しているどうかに影響を及ぼすようなものではない。というのは Fit to Width モードは、規格に恐らくは違反するだろうと承知した上で動作するからである。
  4. Small Screen モードで画像が大きく崩れる。これは Fit to Width と同じ。
  5. 色やフォントなどの描画に関するユーザによる設定変更によって画像が崩れる。バグではない。設定を変えるというのは、テスト画像をどのように閲覧したいかを変化させる事である。テストは全ての設定を初期設定値で受けねばならない。
  6. テストをズーム・イン、ズーム・アウトすると、目がオレンジ色になる。これはバグだ。ズーム・インすれば画像は大きくならねばならないが、色は変わってはならない。ズーム・インした際に鼻がギザギザになるのもバグだ。テキストと同様に、スムーズでなければならない。
  7. hover(マウスを上に移動する)した際に、鼻が青くなる。これはテストの一部だ。(こんなところまで、おかしいと言っている blog まである。問題文を読まずにテストを受ける生徒のようだ)
  8. 画像を読みこまない設定にして表示させた後に表示可に切り替えると、目が表示されず赤くなる。これはバグだ。画像を読み込ませないと、目は表示されてはならず、もし私が間違っていなければ ERROR と表示されるはずだ。その後に表示可としたなら、通常の描画モードに戻るべきだ。(赤い背景色に赤い文字で ERROR と表示されている)

結論をまとめると、6 と 8 は規格に沿っていないバグであるが、この二点共に、他のブラウザに対して Opera が有する先進機能によって露呈したものである。また 2, 3, 4 という小さな UI 上のバグもあるが、それらは WaSP の仕事とは無関係である。
以上に続いて、ホーコン・リーからのメモも紹介されている。テストを受ける際には、そのブラウザの初期設定を用いるべきである。ズームの値を変える、最小フォントの値を変える、fit-to-width のアルゴリズムを適用するなどの変更によって、Acid2 の描画は変わってくるのである。

  • 私の考えを書くと、6 と 8 は確かにバグと言われればバグだろう。しかしそれをもって Opera 9 が Acid2 に通っていないかと言われれば、デフォルト状態でテストは受けるものだろうと思うので、バグと断言するのはどうかなとも思う。Acid2 が描画エンジンそのもののテストであるとすれば、改良 Presto はパスしていると言って良い。

*1:Acid2 test は WASP 「が」公開しているのだが、作者は Opera CTO のホーコン・ウィー・リーであるという。Firefox のクレジットにも名前が登場する、当時 Opera 社員として主として携帯端末の規格 QA に携わっていて、Acid2 公開後、その分析も行ったのがイアン・ヒクソンである。ヒクソンOpera 在籍中は Firefox のクレジットから名前が外れていたが、Google に移籍後の現在は再び名前を見る事が出来る。