第一次ブラウザ戦争前

昨日紹介した Opera 3.0 の記事は 1998 年に書かれたものであり、ブラウザ市場は未だネットスケープが支配して 60% を占め、エクスプローラは 40% 程であった時代である。

今日読んだ一つ目は、Opera browser presents another choice for surfers

  • この記事では Opera Software, a German company とドイツの会社にされてしまっている。また当時のアドレス opera.nta.no が張られているが、これは今でも opera.com へと redirect される有効なものである。

二つ目は、Opera browser leads in style sheet support

  • これは 1999 年 3 月に書かれた記事。昨日の 3.0 に関する記事で予定しているとされた OperaCSS 対応は、4.0 ではなく 3.5 で実現した。
  • 記事中で Eric Meyer は Opera 3.x の CSS 対応を「完全ではないがこれまで私が目にしたどれをも凌駕している」と称讃。
  • Web Standards Project は Opera 3.50 と 3.51 をテストし、当時準備中だった IE 5.0 との比較を「量と質」の違いと表現している。すなわち IE 5.0 はより多くのタグに対応しているが、実装の質で OperaIE 4.5 for Mac に劣っている。
  • WSP (現在は WaSP と略記されている) は Netscape 4.5x の CSS 実装は貧弱過ぎるとして、評価テストすらしていない。Netscape 5 の描画エンジンである Gecko が公開されたのは、前年末である。
  • 当初 Gecko は携帯端末を主たるターゲットにしていたようだ。

Gecko is designed to power numerous consumer devices, including handheld phones, PDAs, fax machines, and TV set-top boxes.

元の記事に話を戻す。標準規格への準拠はブラウザの売りになるかという点について、記事の最後に次のような記述がある。

But for the average user, standards support is not an everyday concern; even perfect CSS support would be unlikely to move Opera from its second-tier status and single-digit market share.
"People don't think about whether TV supports the broadcast standard, nor should consumers have to worry about that," Olsen said. "The browser makers should be competing on what bells and whistles they offer. Standard support should be assumed."
(拙訳)
平均的使用者にとって、規格への対応は日々の関心事ではない。たとえ完全に CSS へ対応したところで、Opera は第二ランクから市場の首位グループへと移行出来そうにはない。
「テレビが放送の規格に合致しているかどうかなど人々は気にしてはいないし、消費者がそんな事など気にする必要はない。」と (WSP のプロジェクトリーダーである) オルセンは語る。「ブラウザ製作者たちは、どんな安っぽい装飾 (bells and whistles) を提供するかで競争すべきなのだ。規格への対応は当然の事でなければならないのだからね。」