Opera は重くなっているのか

タイトルは、人の目をひくものを付けるのが大事だそうだが、えてしてそうしたタイトルは誤解を招きやすい。この項で問題にするのは、確かに動作が機敏ではなくなった Opera 9 の話ではない。OperaMail が付いている事で、Opera ブラウザは動作が緩慢になっているのか、という問題です。
次のような記述を、昔から時たま見かける。引用するのは、たまたま今日見かけたからで、別に他意はない。

私は最初、Opera を入れた時にびっくりしました。それにはメールもチャットも入っていたのです。それはまさしく NetscapeMozilla の時と同様でした。しかし考えてみてください。全ての人がメールを使うでしょうか。チャットを使うでしょうか。ブラウザだけで十分という人もいるはずです。そういう人にしてみればそうした機能はただ Opera の動作を重くしているだけに過ぎないのです。

こうした見方は、自然なものかも知れません。まず最初に、理論上アプリケーションの動作が遅くなるのと、実用上遅くなるのを分けなければなりません。Opera の考え方を結論から言えば、後者の観点で問題がなければ、何を含めても良いだろうというものです。何らかの機能が必要のない人は、その機能を使わなければ良いだけです。使わない機能のせいで決して本体の動作を緩慢にはさせない、これが Opera の方針と言われています。
Opera はバージョン 7.50 の正式版前に、それまで別箇であった m2.dll を Opera.dll 内に含めるという変更をしました。Opera 7.5 以前では m2.dll を rename するなり削除してしまえば、理論上でも素のブラウザだけの Opera を動かす事が可能でした。m2.dll のサイズは 200KB 程だったでしょうか。理論上は 200KB でも全体の動きを遅くさせはするでしょうが、体感出来る人は当時の環境でもいなかったようです。
そこで Opera 7.5 以降 m2.dll は本体に組み込まれました。先程確認してきましたが、現行の Opera.dll は 3,147KB あります。登場以来、大して機能向上していない OperaMail, aka M2 ですから、恐らく m2 関係のファイル・サイズは今でも本体の 1 割未満でしょう。
なぜそんなに小さなサイズでいろいろな働きをさせられているかというと、各種コンポーネントをブラウザ本体と共用しているからです。HTML メールの描画にはブラウザと同様の描画エンジンが、たとえ簡易版であろうとも必要です。表示フォントの選択、表示窓の設定、フラット/ツリーの並び替え、検索など、共用出来る所は非常に多くあります。これを最大限に活用すると、200 から 300KB で済むのだという事を Opera は証明しているのです。

それでも体感出来ようが出来まいが、一切の無駄は認めたくない、排除したいという潔癖性の方は、opera:config#UserPrefs|ShowE-mailClient に入っているチェックを外してしまえば気が済むでしょう。メール関連機能が非表示になって、ブラウザだけの Opera が使えるでしょう。表示確認だけに Opera を使う方も、このチェックを外しておくとサッパリするかも知れません。

  • 「小さなソフト」と「大きなソフト」Part2 で追加説明がなされているのを読みました。実際に Firefox が広く好まれているところをみると、そこで書かれているような追加方式の方が受け入れられやすいのでしょう。
  • それから、昨今の脆弱性の公開騒動にしても、基本的に人が足りないとはいえ、独善的で一見様お断りみたいな所のあるとこですよ、確かに。