Konqueror は WebKit 採用へ
数日前に読んだ記事なのだが、はてブされているものの左程話題になっていないようなので、ここでも言及しておく。
The unforking of KDE's KHTML and Webkit
Konqueror は KDE 2.0 以来、KDE の Web ブラウザ、ファイル操作統合環境として用いられているアプリだ。私が最初に使った Konqueror は Red Hat 7.x から入れた KDE 2.2 の頃だったろうか。その頃からすれば最近の Konqueror は Mozilla や Opera と肩を並べられる程にまで成長した。一時、成長が止まっていた時期があったが、Apple が自分たちのブラウザ Safari に使うため、Konqueror の描画エンジンである KHTML を基に WebKit を開発するようになってから、格段の進歩をとげたのは広く知られているだろう。
軒先を貸したはずの WebKit と KHTML の力関係は、どう見てもじきに母屋を取られるものであった。
当初 Apple は OSS の KHTML に対して、有効なフィードバックをするのではないか、それは KHTML にとっても結構なことであるという楽観的な見方があった。そしてそれは Konqueror の進歩という形で実を結んだ。しかし Apple は第一に KHTML の貢献者であるのではなく、Safari の開発者である。Safari が形になってくるにしたがって、そもそも別の製品なのだから、還元出来るものは次第に減っていった。取り残されることを危惧した KDE は、ここへ来てついに KHTML を捨て WebKit を描画エンジンに採用することを真剣に検討し始めた。
そこで問題になりそうなのが、KHTML を描画エンジンに使っているブラウザである。KHTML は Konqueror 以外にも、Nokia の一部の携帯ブラウザを始め幾つかのアプリケーションに用いられている。最近ではかつて Gecko を使っていた Epiphany にも使われる方針だという。
- Epiphany は XUL を使わず、Gnome の GTK+2 をツールキットに用いているがゆえに、Linux 等では Mozilla より軽快であると一部の支持を集めているブラウザ。
- 記事によるとグラスゴーで開かれた KDE 開発者の会合、Akademy 2007 において、KHTML の産みの親である Trolltech 社員 Lars Knoll が WebKit を Qt に取り込む作業をしていると打ち明けたことに端を発する。
- オープンソース・コミュニティにおける開発方針の決定というのは、投票によってではなくコンセンサス(合意)の形成によってなされる。会合の後、開発者たちに無料で酒が振舞われたグラスゴーのパブでの雰囲気は、幾つかの留保点はあるものの、Webkit KPart を早期に Konqueror へ取り込もうというものだったそうだ。
ideas are shared implicitly among the core contributors, but as a project grows, it becomes more important to write down these shared values.