機能だけでは全くダメ

基本的に全文訳は原著者に承諾を得る必要があるし、当然この私が何から何まで知っている訳もないので、横のものを縦にしたところで全く意味がないと思って(ここ、はてなを始め、多くの日本語サイトは横書きだが)、余程のことがない限りそれはしないで来た。
しかし読み手の要求とは無関係に、たまには全部訳してみたくなるような文章と出会うこともある。以下は、Why It’s Not Enough To Have All The Greatest Features を無許可で勝手に訳したものである*1

当然ながら、我々は高速で機能豊富なブラウザを欲している。そんなことは秘密でも何でもない。ここからそれに由来する「悪しき」副作用について話したいと思う。タイトルにある通り、素晴らしい機能を全て備えても十分ではない、という点を。
さっそく要点に入ろう。
なぜ、それで十分ではないのか。こんな例を考えてくれ。FavBrowser 1.0 という最新のウエブ・ブラウザがあったとしよう。それは新型で、この blog を読んでいる人しか知らない。よって 1 万ダウンロードをなしとげた。まあ、そこそこだ。そうだろうか。ダメだ。いいかい、FavBrowser 1.0 は世界一安全で、すごい機能もあって、文句なしに最高だ。これで良いのだろうか。いや、全くダメ。なぜなのか。1 万人のユーザが使っているウェブ・ブラウザだから、市場占有率は 0.00001% かそこいらだろう。そこで他のブラウザ開発者は何をするだろうか。彼らは FavBrowser の最も人気のある機能を掠め取り、自分たちのブラウザに取り込む、、。
次にどうなるか。人気のあるウェブ・ブラウザだから、大いに話題となり注目を集め、市場占有率は上がることとなる。FavBrowser 1.0 は注目されないのに、他のウェブ・ブラウザは「盗んだ」機能によって急速に市場占有率を、そう例えば 5% 向上させる。
そこで私は更に素晴らしいアイディアを盛り込んで FavBrowser 2.0 を開発する。それをリリースすると同じことが起きる。私は 0.00002 % の市場占有率を得るが、他のウェブ・ブラウザは私の機能を再び盗む。するとどうなるか。それら他のブラウザに打ち勝つことは、もはやほぼ不可能となる。それらは急速に市場占有率を獲得し、私のアイディアは底をつき FavBrowser 2.0 は終りだ。
私の言おうとしていることが伝わったか不安なので、説明しておこう。私は何を間違えたのか。投資家を募り、有料広告を出して注目を集めるべきだった、それだけだ。私が言いたいのは次の点。素晴らしい機能を全て備えたところで十分ではない。良い市場戦略があれば十分なのだ。広告がなかったら、良い製品だって終ってしまう。良い広告があれば、最悪の製品だって支持を得られる。
こんなことは誰にでも分かってもらえると思い、こうした文章を書こうと思った*2

*1:事後承諾を求めたところ、こころよく応じてもらった。

*2:訳中、最後の一文の意味について原著者に一応問い合わせておいたところ、私が訳しておいた意味でよろしいようだった。しかしあまりよろしくない英語なので、原文の方ではその箇所を削除するとのこと。今確認すると既に削除されていたが、訳文の方は元のままにしておく。英語で書いてあるからといって、内容はもちろんのこと、全て正しい「英語」であるとは限らないのは当然だ。