Acid 3 test - 100/100

昨晩チャットで仲間内には速報を流したのですが、その時は 98/100 だというアンの記事が発端で、その後 Desktop Team blog やら各地に社員が blog 記事を書いていたようです。
Acid3 Opera 100
記事の一覧は edvakf さんのエントリをご覧ください。
WinGogi とは何か、気になる方も多いでしょう。以下に説明があります。

This is the first time a screenshot of Gogi, our internal testing platform, has been released publicly. Core developers and testers use Gogi for their development, so they have a platform-independent setup. Also, Core testers do regression testing in Gogi before Core fixes are released to the Desktop Team build.

最初に毎日見慣れた WinGogi の絵が貼られているのを見た時は、大変驚きました。これまで外部にはその存在さえ言及されたことがなかったからです。Opera 社内では、外部にも公開される weekly の他に内部向けの Desktop 版があるというのはご存知の方も多いでしょう。
更に各プラットフォーム向け版とは別範疇で Gogi と呼ばれる開発専用版が内部テスター向けに存在しているのです。Gogi で修正の確認テストなどを行ってゴーサインが出ると内部のプラットフォーム別版に入り、その後 snapshot build としての weekly として外部公開される手順になっています。

  • ですから weekly より一歩先に internal 版でバグ修正の進捗状況を確認出来ますし、Gogi で内部テスタはその先に触れていた訳です。もちろんその内容はここには書けなかったということです。
  • 二週間以上 weekly が公開されなかった時期にも internal や Gogi の状況を見ていただけに、たいそう歯痒い思いをしておりました。

今回公開された WinGogi の build は極めて初期段階のもので、いわば pre-alpha ということになります。したがって近いうちに一般公開されるテスト版にそのままこの成果が全て盛り込まれるかは未確定です。ましてや Opera 9.50 に入るかどうかは全くの未定と考えるべきです。
しかし WebKit が必死に Acid 3 test 一番乗りを目指して話題をさらっているのを、傍で見ていられなくなったのでしょうか、今回このような臨時ニュースになったのだと思われます。

  • Acid 3 test に通るということは、CSS3.info にも書かれているように、これまで Opera が未対応だった hsla() / rgba() や Web fonts (@font-face) をクリアーするということで、それを考えれば単なる一テストに通過する競争というだけでなく、Web 標準への対応を促したという意義をこのテストに見出せるでしょう。
  • なかには根本的対応ではなくテストにだけ通ればという方針で修正をしている所もあるやに聞いていますが、Opera に関してはそういうことはありません。
  • Labs Opera で近いうちに公開されるのが、上記のどの形態になるのは分かりませんが、カウントダウンの段階にあるようです。
  • 誤解を招かないように付記しますが、Opera のこの内部版は Acid 3 test に通った訳ではありません。100 個の JavaScript/DOM テストに合格したというだけで、アニメーション等依然いくつかの描画に関する問題を残しています。ですからそれらがクリアーされれば Labs Opera で実験ビルドの公開となるでしょう。
  • ここまで書いたら「テスト自体が変更された」という記事が飛び込んできました。前回に続きまたあっちからのクレームのようです。きっと「彼らが」100/100 になるまで何か言い続けるのでしょうね。
  • Internet Watch の日本語記事

付け焼刃

当初の私の文面を読んだ WebKit/Safari ファンは、気を悪くされたことでしょう。しかし彼らの遅れた SVG アニメーション対応は広く知られたことですし、だからこそいくら WebKit nightly の点数が 100 に近付こうとも私は安閑としていられた訳です。ところが彼らは SVG animation に正式対応させるのではなく、Acid 3 test の当該項目にパスする対策を優先してきたのです。
この点に関して SVG に詳しい Jeff Schiller は次のようなエントリを残しています。

I was excited enough to download the MacOS nightly and run through the SVG animation test suite. I was pretty disappointed.

Out of 58 tests involving animation, WebKit r31344 fails 54, gets 3 of the tests partially right and only gets 1 test to completely pass. To put this into ‘acid’ terms, this means that WebKit r31344 gets a score of 5/116 when it comes to SVG animation support (as compared to Opera 9.5’s 110/116).

彼の SVG テスト結果チャートは「公開ビルド」である自称 100 点の WebKit に関しても更新されています。SVG アニメーションに関する 58 の彼が行ったテストのうち、WebKit は 54 の項目で落第し、完全にパスしたのは 1 項目だけだと嘆いています。

  • Acid 3 test 公開後の変更一覧
  • Taken SPC で冷ややかな見解を抄訳してくれていますが、上に書いたようにこういう注目を集めているテストを機に、「Web 標準への対応を促したという意義」位はあるだろうというのが、穏当な見方かと私は思います。Opera は小さな会社ですからリソースが限られています。繰り返しになりますが、このテストがなかったら hsla、rgba や Web fonts への対応は後回しにされていたのは残念ながら間違いなかったでしょう。その点だけを素直に歓迎したいと思います。